白内障手術後の紫外線対策は?
太陽が発する電磁波のうち地上に達するのは290nm以上の光で、波長によって100〜400nmの紫外線、380〜780nmの可視光線、780nm〜1mmの赤外線に分けられます。
紫外線のうち100〜290nmのUV-Cはオゾン層など大気によって吸収されます。
290〜320nmのUV-Bは人体に達し代謝を促進するはたらきをしたり、ビタミンDの生成に関わって骨を丈夫にしたり、免疫力を高める作用もあります。
UV-Bのうち290〜300nmのものは角膜や結膜で吸収され、一度に過度の暴露を受けたり、長期にわたって暴露を受けると角膜炎や翼状片という病気を引き起こすこともあります。
300〜320nmのものは一部角膜・房水に吸収され水晶体に達し、白内障発生にも関わっています。
320〜400nmのUV-Aは大気中で吸収されることはほとんどなく、90〜100%が水晶体で吸収され、その作用が長期に蓄積されると白内障発生の一因ともなると言われています。
白内障手術の際、水晶体の代わりに眼の中に入れる眼内レンズは380nm以下の紫外線はカットできますが、それ以上の波長の光は通過して網膜に達します。
高齢者で視力低下をきたす加齢黄斑変性症という病気があります。
この病気は欧米の白色人種で戸外活動の多かった人に生じやすい、という統計学的調査結果が出ており、日本でも生活習慣の欧米化に伴って、今後増加する可能性があります。その最大の因子は加齢ですが、悪化要因として、遺伝、喫煙、高血圧、高コレステロール血症、心疾患の他、光毒性が上げられています。ここで問題となるのは400nmあたりの紫外線と500nm以下の可視光線で、活性酸素を介して網膜の変性を生じると考えられています。しかしながら、実際に人において眼内レンズと加齢黄斑変性症のはっきりした因果関係を示したデータは今のところ乏しいと言えます。
日常生活を制限する必要はありませんが、紫外線や光が強い場所に長時間いる時は必要に応じてサングラスを装用するのがよいでしょう。
400〜500nmの短波長光をカットする色としては、オレンジ、ブラウン、イエローが適しており、まぶしさも効率よく軽減することができます。
ただしUVカットのサングラスの中には、UV-Bはカットできても、UV-Aをカットできないものもあります。
一般的に無色のレンズでもガラスで340nmまで、プラスチックで360nm程度まではカットできます。
最近は400nmまでカットできるレンズやUV-Aカット加工処理レンズなどもでてきていますので、購入の際には「どの程度UVカット機能があるか」もご参考にして下さい。
普通のサングラスをすると瞳孔が大きくなり、かえって眼の中に入る紫外線が増えることにもなりかねませんので、色の濃さも濃過ぎないようご注意下さい。
また、フレームが眼から離れていると後ろや横から紫外線が入りますから、フレームのデザインによっても紫外線量は異なるとお考え下さい。