手術すれば眼鏡は必要ない?


光が水晶体で屈折して焦点が網膜でちょうど合えば、眼鏡なしで良好な視力がでます。焦点が網膜より前にある状態が近視、後ろにある状態が遠視です。
近視では近くが見えやすく遠方は見えにくい、遠視では近くも遠方も(日常生活に必要な距離)も見えにくいということになります。
眼内レンズの度数を術前に決める際に、日常生活では近くを見ることが多いので多少近くも見えやすいよう、近視よりに度数を決めています。
ただ、今までの目の屈折状態や、手術をしない方の目とのバランスを考慮して度数を決定する必要があります。

眼内レンズには調節力(ピントを合わせる力)はありませんから、はっきり見える距離はだいたい一定です。
もともと水晶体はチン氏帯という非常に細い線維で茶色目(虹彩)の後ろにある毛様体に固定されています。
若い時には、毛様体筋肉の収縮と弛緩によってチン氏帯がのびたりゆるむことで水晶体が薄くなったり厚くなって、見たいものにピントを自動的に合わせています。これが調節力です。老化と共に調節力が落ちる状態を老眼と言います。
眼内レンズは老眼が強い状態と同じですから、若い頃のようにすべての距離がよく見えるわけではなく、見たい距離によって眼鏡を使い分けることが必要となります。

また、視力に影響する因子として乱視があります。乱視は角膜の形によって変わります。角膜が正円に近ければ乱視のない状態ですが、一般的に角膜は若い時横長のフットボールのような形をしていることが多く、老化と共に縦長になってきます。手術後、乱視が変動しますが、これが落ち着くのに1〜3ヶ月かかることがあります。眼内レンズには乱視を補正する力はありませんので、乱視の具合によって眼鏡をかけた方がよく見えたり疲れにくかったりします。

見え方というのはとても微妙なもので、感じ方や日常生活に必要な視力には個人差がありますから、必要に応じて眼鏡を調整しています。



                                                             
 

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